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世界5周中の情報系旅人が綴る、世界や旅の情報あれこれ〜たまに恋〜

恋人との別れ。これも人生における大切な選択だ。

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前回までの記事。

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1年前に出会った一人の女性。

僕は彼女に一目惚れをした。

 

コーヒーを2つテーブルに運んできた彼女。僕がオーダーしたのは1つ。もう1つは彼女自身のコーヒーだった。

 

そこから僕らは仲良くなり、一緒に食事をし、お酒を飲み、手をつなぎ、一つのベッドで眠った。

 

僕には恋人ができた。

旅をしていると何度かその土地で暮らす魅力的な人に出会う。

けれど、恋人になるというところまではなかなか発展しない。

僕は旅を続けるし、その土地を数日で離れる事がほとんどだから。

 

けれど、今回は違う。

僕は旅を続けるし、彼女はコロンビアで暮らす。

 

けれど、今回は違う。

僕はまた会いに来るし、彼女は待っててくれる。

 

僕は1年ぶりに彼女が暮らすコロンビアへやってきた。

 

夜中、タクシーに乗り彼女の家へむかう。

久しぶりの再会。

 

それは愛に溢れたものになる

 

 

 

 

はずだった。

 『あのね、sho…』衝撃的な言葉を告げた彼女。

 

『ごめんね。空港に迎えに行けなくて』

 

『構わないよ。僕は旅人だから。ほら、一人でここまでこれた』

 

『中に入って。何か飲む?』

 

『メキシコからビールをお土産で持ってきたよ。あ、でも夜遅いか。明日は早いの?』

 

『ううん。大丈夫。じゃあビール飲もうかな』

 

僕はバックパックからビールを取り出し、彼女に渡した。

 

『1年ぶりに乾杯』

 

『乾杯』

 

僕らはどこか少しぎこちないまま話を続ける。

1年ぶりの再会だし、仕方のない事かもしれない。

けれど、そこには何か-何といっていいのかわからないが-異様な空気が漂っていた。

 

 

僕らが恋人同士である事を排除しているような空気。

 

 

あれ?

僕ら恋人同士だよね?

 

 

そんな事を確認せずともわかるような空気ではない事は確かのようだ。

 

 

『学校忙しい?』

 

とりあえず、日常生活の話をしておこう。

僕が感じ取った空気は何かの間違いかもしれないし。

僕だけが感じ取っているものかもしれない。

 

『あのね、sho…

 

何か彼女が話をしようとしている。

ひょっとしたらこの異様な空気の原因になっている話かもしれない。

 

『どうしたの?』

 

『あのね、sho…あなたがきてくれて本当に嬉しい。本当に、今でもあなたが目の前にいる事が信じられないぐらい。』

 

1年前に言ったでしょ。僕はまたくるって。それは僕たちの約束だったからね』

 

『うん。確かにその通り。でも、本当にまたきてくれるなんて思ってもなかった。ほら、コロンビアと日本は遠いでしょ。簡単にこれる距離じゃないから』

 

『そんな事ないよ。確かに遠いかもしれないけれど、会いに行けない距離じゃない。地球は思ったよりも小さいんだ。距離的な意味でだとね。』

 

『あなたらしい言い方だね。地球は小さい。距離的な意味で。けれど大きい。』

 

『うん。大きい。2年以上旅をしたけど、まだ全てを見ていないからね。すべてどころか半分もみれていない』

 

『私ね、shoが本当にコロンビアに戻ってきてくれるなんて思ってなかった。ごめんね。』

 

『いいよ。良い意味で期待を裏切ったっていう事でしょ。謝る必要はないよ』

 

『私ね、shoが本当にコロンビアに戻ってきてくれるなんて思っていなかったから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他に彼氏作っちゃった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

別れの言葉は必要ない。答えはもう決まっているんだから。

『私彼氏作っちゃった』

 

まさかの衝撃的発言。

 

こんな事をいっちゃーなんだけれども、僕は彼女を100%信用していた。

そりゃもちろん、この1年間誰かと関係を持っていなかったかどうかと言われれば、正直そこは僕の中では重要な事ではなかった。

僕さえそれを知らなければいい。

それくらいにはもう僕は大人だから。

 

 

けれど。

 

『他に彼氏できちゃった』

 

この発言にはちょっと腰を抜かしそうになっている。

まだ再会して数分だ。

 

 

これに返す言葉はなんだ。

100点じゃなくていい。

これに返す言葉は…

 

 

 

思いつかない。

 

『おめでとう』

 

でもないし

 

『何ふざけた事言ってんだ馬鹿野郎』

 

でもないし

 

 

『そんなんはよいえー!!!コロンビアきてもーたー!!』

 

気持ち的にはこれが結構近い。

実際に、僕はアメリカの旅を少し早く切り上げて、次のボリビアとペルーでの仕事までの間、可能な限りコロンビアで過ごそうと思い、早くコロンビアへやってきたという事もある。

 

しかし、その台詞もやっぱりしっくりこない。

ちょっとコミカルすぎる。

 

 

じゃあ、一体なんなんだ。

 

 

いや、わかってる。

彼女が何を言いたいのかわかっているんだ。

けれど、それをどっちが言い出すのか。

 

 

彼女か。

僕か。

 

とりあえず僕はもう気づいている。

 

 

 

 

 

僕たちはもう恋人ではない。

それはいつのタイミングからだったのかはわからないけれど、あえていうならたった今さっき-少なくとも僕の中では-といってもいい。

 

彼女には別の恋人がいるという話だし、このまま僕と付き合っていくという選択肢はもう残されていないだろう。

 

 

そうなると、やるべきことは1つ。

 

 

 

別れの言葉を述べ、この関係を決定的に終わらせるということだろう。

 

 

 

それを僕がいうのか。

それとも彼女がいうのか。

それだけが決まっていない。

 

 

 

僕が言うべき?彼女が言うべき?

彼女は何を待っている?

僕が切り出すのを待っている?

 

 

 

いや待てよ。

 

 

『私、彼氏できちゃった』の発言はもうすでに『別れましょう』という意味を含んでいるんじゃないか?

 

 

それをわざわざ僕に伝えたという事は、僕らの関係はもう終わっているという事だろう。

いちいち『じゃあ、別れよう』なんていう言葉は必要ない。

言葉の中に全ての結論は含まれているんだから。

 

 

そう。

別れの言葉は必要ない。

必要な事は…

 

 

 

 

 

 

 

 

僕がここから出ていく事だけだ。

 

 

最後の夜。僕らの距離はもう元には戻らない。

 『今日はもう遅いから、明日出ていっていい?』

 

僕はそう彼女に伝えた。

最初の言葉として適切だったのかはわからないけれど、他に思いつく言葉がなかった。

気の利いたセリフを最後にいう必要はない。

 

僕はもうこれが最後の夜だとわかっているから。

 

今更彼女にもう一人の彼氏-もはや僕は彼氏じゃないけれど-と別れて僕と付き合ってくださいなんていう言葉をいうのは馬鹿らしい。

 

 

僕は冷めた男か?

いや、そんな事はない。

僕はとても熱い男。

特に恋愛に関して言えば、恋愛依存症に一歩間違えればなりかねない。

 

 

だと思ってたけど、案外あっさりあきらめる事ができた。

彼女はとても魅力的な人だ。

それに違いはない。

 

ただ、やっぱり以前とは違う。

以前僕が彼女の事を魅力的だと思ったのは、彼女が僕に対して多かれ少なかれ興味を持っていてくれたから。

そんな風にも思えてきた。

 

だからこそ今は思う。

 

 

 

これでよかったんだ。

 

確かにコロンビアまで来た事は無駄足だったのかもしれない。

けれど、あのまま遠距離を続けて、彼女が僕とメールをしつつも新しい彼氏と仲良くやってるなんて事よりはずっとよい結果になったと思う。

 

時間は午前3時。

もう遅いし、今から宿に移動するというのも難しい。

そう思い僕は今日だけはここにいさせてもらい、翌日違う場所へと移動しようと思った。

 

『ごめんね。今日はここで寝て。』

 

彼女はそういった。

 

僕たちは初めて別々のベッドで寝る事になった。

初めて出会った時から数日、毎日同じベッドで横になっていた僕ら。

 

今日は別のベッド。

 

これが今の僕たちの距離。

そしてこの距離は明日、起きたらもっと遠くになる。

きっと連絡をする事もぐっと減る、いや無くした方がいい。

 

僕はもう彼女にとって恋人ではない。

それに彼女は僕の恋人でもない。

 

だから僕らは離れるべきだ。

もっと遠く。

できるだけ遠くに。

可能な限り遠くに。

 

雨の降るメデジン。

最後の夜。

 

初めて会った日は晴れていたな。

外で酒を飲んでも気持ちがよかった。

 

けれど今は外で酒を飲む気にもなれない。

 

僕は考える。正しいことなんてないってことを。

翌朝、僕は彼女の元を去ることにした。

 

『じゃあ、元気で』

 

『うん。shoも気をつけて旅をしてね』

 

別れはあっさり。

それが一番いい。

わざわざドラマチックな別れにする必要もない。

 

僕はバスに乗り彼女の家から街の中心部へと移動した。

 

バスに乗っている間、僕はただ一つのことを考えていた。

 

“何が正解だったんだ”

 

1年前彼女と付き合うという選択をしなければよかったのか。

1年という時間と距離は長すぎたのか。

僕たちは本当に恋人だったのか。

僕は彼女を愛していたのか。

彼女は僕を愛していたのか。

昨日の返事は正しかったのか。

今日の選択は正しかったのか。

 

 

正しい事ってなんだ。

 

 

いや、正しい事なんてなにもない。

今僕の目の前にある現実が全て。

そしてそれすらも正しい事かどうかはわからない。

そもそも正しくあるべきかどうかを考えてみれば、そんなのどっちでもいい事。

これは現実だけれども、この現実に是と非をつける事なんてできやしないのと同じ。

 

 

物事に正解を求める事。

それは必要のない事。

正解を求めるだけの人生はつまらない。

 

そういう意味において僕は正解を求めるだけの人生を今の所送ってはいない。

旅の中に正解を求めたりしないから。

それは必要のない事だし、これからも必要とはされないだろうし。

 

時が来れば自ずと答えが現れる事。

それでいい。

それがどんな結果になろうとも。

 

今回の事も同じ。

時が来たから自ずと答えが現れただけ。

その答えに至る過程に正解なんてものはそもそも存在しなかっただけ。

僕は正解だろうが不正解だろうが、その都度幾つかある選択肢の中から一つを選び、そして行動しただけ。

 

これでいい。

別れた事が悲しいかどうかといえばもちろん悲しい。

彼女は魅力的な人だったし、僕は彼女の事が本当に好きだったし、なんなら将来の事を考えれるとも思っていた。

 

これでいい。

僕はまた旅を続ける。

そしてその中でまた誰かを好きになるかもしれないし、ならないかもしれない。

 

大切な事は自分の意思で決めたという事。

彼女の元を去るという選択を自分でした事。

出ていってと言われて出て行くのではなく、自分がそれを選んだという事。

 

 

人生っていうのはいろんな選択をしないといけない。

それが正しくてもそうでなくても。

けれど大切なのは自分が選んだという事実。

 

自分で自分の人生を選んだ事が大切なんだ。

 

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