TABIMARU.com

世界5周中の情報系旅人が綴る、世界や旅の情報あれこれ〜たまに恋〜

トラックにぶつかった僕ら。そう、これは間違いなく交通事故だ。畜生シマウマの野郎。

アフリカ南下旅をしてきた僕、変態、親方、大和田。

ついに最後の目的地ナミビアに到着。

 

ナミビアではレンタカーで北上し、再び首都のウィントフックまで戻ってくる計画。

ナミブ族やオットセイの大群。

エトーシャ国立公園でのサファリ。

 

たくさんの魅力がつまったナミビアの旅。

 

その最初の地はナミブ砂漠。

 

赤い砂漠の上に昇る太陽。

美しい世界。

 

そして、枯れ果てた大地に残る木々。

死のセカイ。

 

1日の始まりと生の終わりを感じる事ができるナミブ砂漠。

 

 

僕たちは次の場所を目指す。

目指すはスワコップムント。

海岸沿いの町。

 

道のりは直線距離にして200キロ程。

砂漠の中の道。

 

車内に流れる愉快な音楽。

きゃりーぱみゅぱみゅ。

 

突如現れる砂埃。

視界0。

 

 

『親方。止めて』

 

僕の声が響く車内。

 

 

そう。

僕の声が車内に響くのがもう少し早ければ…

 

砂埃。その先に。

『親方!止めて!』

僕は嫌な予感がしていた。

 

砂埃がこんな所で発生する事なんてきっとない。

何か前兆があったはず。

 

思い出せ。

その前兆がなんだったのか?

砂埃の前に見た景色はなんだ。

 

左には何が?

右には何か?

 

前には?

僕らの前には何があった?

それが大事だ。

 

 

 

僕らの前500m程先に僕は一台の車を見た記憶があった。

少し邪魔だなぁと思っていたりもした。

時々巻き上げる砂が車のフロントにあたっていたからだ。

 

 

見通しは悪くはない。

できる事ならその車を抜いてしまいたい。

 

けれど、ここは砂地。

スピードを出すのは危険だ。

前の車が徐々にスピードを落としてくれれば抜く事も可能だったかもしれない。

 

それに、前にあった車は乗用車ではない。

 

 

 

トラックだ。

通常の乗用車の2倍の長さがある。

 

そうなると、抜き去るのにも時間がかかる。

親方もそれは気づいていただろう。

 

『前の車嫌だね』

 

僕と親方はそう話をしていたから。

 

その車を抜き去る事ができるかどうかはまだわからない。

けれど、少なくともまだ車間距離は500m以上ある。

今はまだ抜き去る時ではないだろう。

 

 

そんな風に思っていた記憶がある。

そう、僕らの前には

 

 

“トラック”

 

一台のトラックが僕らの前方を走っていた。

しかし、今そのトラックは僕らの視界にはない。

僕らの視界にあるのは砂埃だけだ。

 

前も後ろも。

左も右も。

僕らの車のすべての窓ガラスは茶色い砂で包まれている。

 

 

トラックが確認できない。

その事が僕の引っかかっていた事。

 

 

『親方!止めて!』

 

きゃりーぱみゅぱみゅの曲が流れる車内で僕はそう叫んだ。

 

 

スピードが減速されていく。

40キロ…30キロ…20キロ…

 

停車まではあと少し。

 

 

 

けれど、遅かった。

 

 

 

僕らの目の前にうっすらと現れたもの。

それはトラックの後ろ姿。

 

 

あぁ、なんでこんな所にトラックがあるんだよ。

お前は500m先を走っていたはずだろう。

 

 

 

もう無理だ。

ぶつかる。

そう思った時、僕は少し“死”を意識した。

 

 

 

 

 

 

 

どんっ!!!!!!!!!!

 

 

 

衝突。けれど僕らは生きている。

車内にはまだきゃりーぱみゅぱみゅの音楽が流れている。

♪ぽーんぽーんだしてーしまえばいいのー♪

 

衝突時、ものすごい衝撃が車内にはあった。

 

 

けれど僕らは生きている。

スピードはおそらく10キロから15キロ程まで減速されていたはずだから。

そこまで前の車に激突はしなかったんだろう。

 

車内に音楽がまだ流れているという事は、車にそこまで大きな損傷はないという事かもしれない。

 

 

『やってしまった…』

 

親方がそうつぶやいた。

 

そう。

生きてはいるけれど、やってしまったことには変わりはない。

僕らは事故を起こした。

しかも、後方から追突するという、日本で言う所の“おかまを掘る”形で。

事故の責任の割合としては完全に100:0のパターンだ。

 

 

とりあえずエンジンを切ろう。

そして外に出よう。

車が爆発するかもしれない。

 

 

しかし僕側のドアがあかない。

ひどいダメージがあったのは左側のようだ。

前が潰れてドアが圧迫されてしまっているんだろう。

 

僕は運転席から出る事にした。

 

 

車が凹んでいるのは前方の左側。

車体からは水らしきものが流れ落ちていた。

 

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ヘッドライトが割れ、フロントは歪んでいる車が損傷しているのはわかりきっている。

 

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これは間違いなく事故だ。

 

 

トラックの運転手が降りてきた。

僕らはとりあえず運転手と話し合う。

まずは保険会社と警察に連絡をする必要がある。

 

けれど僕らは電話を持っていない。

トラックの運転手が電話をしてくれた。

 

 

僕らはとりあえずそこで待つしかなかった。

砂漠の真ん中にある道で。

いったいどれだけ町から離れているだろう。

ここに警察がくるのはいつだろう。

 

本当に来るのかもわからないような場所だ。

けれど、僕らは待つしかない。

 

僕らの車が動くかどうかはわからない。

水が漏れている事を考えれば動かさないというのが得策だとは思う。

 

そうなってくると、ここから町まではレッカーでの移動になる。

レッカー車がここにやってくるのを待つしかない。

 

 

僕らはひたすら待った。

ナミブ砂漠ではまだ昇り始めたばかりの太陽。

それはもう僕らの真上にある。

 

 

水はまだある。

とりあえず、僕らは事故では死ななかった。

そしておそらくだけれど、脱水症状で死ぬ事もなさそうだ。

 

 

けれど、なんでこんな事故が起きたんだろう。

僕は不思議だった。

 

 

事故の原因。それは僕らには想像もできないものだった

 

やぁ、シマウマさん。どうしたんだいこんな所で。

僕は不思議に思っていた。

 

 

“なぜ、この車はトラックにぶつかったんだ”

 

ここは砂漠。

信号なんて何もない。

それに人通りだってない。

 

 

それなのにトラックは明らかに停車していた。

砂漠の道で停車をしていた。

その理由はまったくわからない。

 

いったいなんでトラックはとまっていたんだ。

トラックさえ止まらなければ、砂埃は発生する事はなかったはず。

トラックさえ止まらなければ、こんな事故は起きなかった。

 

 

なぜ止まったんだ。

止まると砂埃がでてしまうのは暗黙の了解だろ。

止まるなよこんな所で。

それなりの理由があるならわかるけれど。

 

 

やっぱりまだわからない。

なんで止まったんだ。

もうぶつかってしまったあとにそんな事を言っても仕方ないのかもしれないけれど。

 

 

けれど、止まっていた理由を知る事ぐらいかまわないだろ。

 

 

トラックの先に何かがあるのか。

 

時間はまだある。

警察はまだきそうにもない。

 

僕はトラックの前方に目をやった。

トラックの前方。

左側。

 

とはいっても道から30mは離れているだろうか。

 

そこには有刺鉄線でできた柵があった。

有刺鉄線の柵は僕らの車の後方、はるか彼方まで続いている。

そして、前方にしても同様に果ては見えそうにない。

 

 

その有刺鉄線に何かが引っかかっているのが見えた。

 

 

 

目を凝らしてよく見ないとわからないかもしれないけれど、色だけははっきりとわかる。

 

 

 

白と黒の何かだ。

白と黒の何かが有刺鉄線にひっかかっている。

しかもかなり大きい。

 

 

 

僕はそれに近づいてみる事にした。

 

 

少し嫌な予感というか、やりきれない気持ちみたいなものはあったけれど。

だって、白と黒の何かなんだぞ。

 

 

ここはアフリカだ。

 

 

だといって、そんな馬鹿な事があってたまるか。

 

 

 

 

けれどやっぱりアフリカはどこまでもアフリカなんだ。

 

 

有刺鉄線にひっかかっていたのは、まぎれもなくシマウマだった。

 

 

もう死に絶えているシマウマ。

今さっきひっかかったという訳ではなさそうだ。

 

 

そのシマウマはトラックの位置からちょうど左前方に30m離れたくらいの場所に吊るされていた。

 

 

 

まさか。

まさかだけど。

 

 

このトラックのドライバー…

 

 

 

 

シマウマ見てたんじゃないだろうな…

 

 

 

シマウマ見ていて車を停車させていた訳じゃないだろうな…

 

 

いや。

そうとしか思えない。

だって他に止まる理由は何もない。

 

 

このシマウマによって僕らは事故ったのか。

くそ。

アフリカらしい理由といえばそうだけれども。

 

 

 

なんだかやるせないな。

 

そんな気持ちにさせるシマウマの亡骸だった。

 

 

事故はまぁ仕方ない。

保険にも入ってるし。

とりあえず違う車を借りなければ。

 

 

そう思っていた僕ら。

 

けれど、事態はもっと深刻だった。

 

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