皆さんはマダガスカル島って聞いたことありますか?
マダガスカル島でもっとも有名なのはバオバブ街道と呼ばれる場所だと思います。
僕もマダガスカルにはバオバブ街道を見る為に行きましたからね。
もーそれはそれは綺麗で素晴らしい道でした。
あまり天気に恵まれなかったマダガスカルの旅でしたが、美しいバオバブ街道を観れただけで僕は満足していたんです。
満足のうちに終わったマダガスカルの旅。
あとは飛行機でヨハネスブルグへ戻るだけです。
それなのに僕ったら…またこんな事になってしまうなんて…
幻想的な空に浮かぶシルエット。マダガスカルのバオバブ街道。
マダガスカルへやってきた最大の目的はバオバブ街道と呼ばれる道へ行く事だった。
道というのは少し語弊があるかもしれない。
そこは、舗装などまったくされてはいない場所。
何十年、いや何百年かもしれないバオバブの木が左右に立ち並んでいることから、いつしかそこはバオバブ街道と呼ばれるようになった。
不思議な形をしているバオバブの木は世界中の人を魅了し、多くの観光客がバオバブ街道にくるためにマダガスカルを訪れている。
僕はバオバブ街道を二度訪れた。
その景色があまりにも美しすぎたから。
そして、一度見ただけではもったいないと思ったからだ。
バオバブ街道は時間が経つにつれ空の色を変えていく。
空の色は僕らが見た事のない色に変わってゆき、絵の具で表現するには難しい色になり、あたりを染め上げていく。
そこに浮かび上がるのはバオバブの木。
不思議な形をしたバオバブの木の枝はそれぞれが存在感を持ち、カラフルな空を描いたキャンバスに真っ黒な異形のシルエットを映し出す。
この景色。
そうこの景色を僕は見たかった。
僕の目に飛び込んできたバオバブ街道の美しさを僕はきっと忘れる事はないだろう。
マダガスカルを去る時。満足で終わった旅。
マダガスカルの旅に僕は満足していた。
見たかったバオバブ街道を訪れる事ができ、多くの猿も見た。
美味しいロブスターも食べたし、マダガスカル名物ゼブ牛も食べた。
たった1週間ほどのマダガスカル旅。
期間としては長くはないと思う。
けれど、僕はマダガスカルの旅を十分満足したといってもいい。
そう思った。
そしてまたこの島にきたいなぁという気持ちもあった。
次はもっと長いあいだ島に滞在して、もっと島の色んな場所を旅したいものだ。
アンタナナリボの空港へ向かう。
僕のフライトはアンタナナリボから南アフリカのヨハネスブルクへ行くフライト。
マダガスカル島へのフライトチケットは往復7万円程。
決して安くはないけれど、それだけの価値があると言ってもいい。
さぁ、マダガスカルを去ろう。
行き先は“リアル北斗の拳の都市”だ。
日本的な考え。お客様満足度の高いオペレーションを。
空港に到着し、チェックインはスムーズに終わった。
チケットも発券され、これでゲートをくぐって飛行機に乗れば到着するのはヨハネスブルクだ。
出国のカウンターでスタンプをもらう。
そして次は荷物チェック
通常スタンプをもらう前に荷物チェックなのだが、マダガスカルはどうやら逆らしい。
出国してから、荷物チェックをして飛行機に搭乗するようだ。
僕の荷物はサブバッグ一つ。
中身はカメラやパソコン、それにいつもパスポートやクレジットカードなどが入った貴重品袋。
歯を磨くのが好きなので歯磨きと歯ブラシも携帯している。
荷物チェックの場所はなぜか大混雑していた。
3箇所あるゲートは1箇所しか動いていない。
行列ができているにも関わらずだ。
人出が足りないのが原因なのだろうか?
こういったフライトが重なる時間帯くらい人員を増やして対応すればいいのに。
それがお客様視点にたった仕事の仕方だろ?
まぁ、これはあくまでも日本的な考え方なのかもしれないな。
とりわけ僕の前職は店長だからかもしれない。
お客様が一番多く来店するであろう時間帯には人員を最大にしておき、お客様にご迷惑をかけないようにするというのが原則だったし、僕がもし客側の立場ならそれが当然のようにも思っていた。
やっと荷物チェックのゲートに到着して驚愕。
そこには10人以上の職員がいた。
それならばなぜ、彼らは他の荷物チェックゲートを解放しないのか?
それが理解できなかった。
お客様満足度?そんなものは我々には関係はない。
お客様に満足をしてもらうことに対するデメリットというのはあまり聞いたことがない。
逆に、お客様に満足をしてもらうと再びその店を利用してもらえるというメリットがある。
小売店などの場合は買い上げ点数や客単価も伸びることが予想される。
空港の場合…
どうだろうか。
確かに、素晴らしい対応をする職員が多い空港というのはあった気がする。
僕の中では関西国際空港は非常に満足度が高い。
それと、フランスのパリ。シャルルドゴール空港。
対応も丁寧で、親切な職員が多いという印象を僕は持っている。
それと違って、僕の中で少し残念なのは羽田空港。
鎖骨骨折をしていた僕は、カバンを背負うこともカバン開けることも、そこそこ苦労をする。
けれど、羽田空港の職員の方は一切何も手伝ってはくれなかった。
荷物検査時、カバンの中からパソコンを取り出さないといけないのだけれど、苦労して片手でパソコンを取り出していた。
その間、列は止まる。
けれど、職員の方は誰一人助けてはくれなかった。
そういう点では羽田空港に対して僕はいい印象を持ってはいない。
けれど、その出来事が今後羽田空港を使うかどうかということには直結しない。
そこで空港側にクレームでも入ろうものなら、個別的な指導はされるだろうけれど、顧客満足度が利用頻度に関わってくるという事はあまりなさそうだ。
日本の場合は“おもてなし”という言葉があり、多くの方がどこであったとしてもホスピタリティーをもってお客様対応をしている。
けれど、マダガスカルの空港ではどうやらお客様を満足させるという意識はなさそうだ。
なぜなら、荷物チェックのゲートで行われていたのは10人以上の職員による単なるおしゃべりだったのだから。
荷物チェックにはご用心くださいませ。
やっと僕の荷物チェックの順番がやってきた。
サブバックからパソコンを取り出し、ポケットからは携帯と財布を取り出しカゴの中に入れた。
ベルトはしていない。
パスポートと搭乗券は手元にある。
小銭は…大丈夫。ポケットの中には入っていない。
おっと、いつも首からぶら下げているネックレスの一部に金属が使われているか外しておかないとな。
そう思い、首からネックレスを外しカゴの中に入れた。
ゲートを通っても反応は無し。
もちろん僕は違法なものはもっていないし、金属の類はなにも身につけてはいない。
ゲートを通り、僕は荷物が出てくるのを待った。
荷物が出てきて僕は荷物を受け取ろうとする。
すると、職員がもう一度僕の荷物をX線に通した。
何かおかしいものが入っているのか?
いや、僕は基本的にはいつもサブバッグには同じものしか入れてない。
いつも問題なく通れているんだから、今回も問題はないはず。
X線を2度通った僕の荷物。
職員は僕にカバンの中に先のとがったものとハサミがあると言い出した。
先の尖ったもの…それはなんだろうか…
あ、ヤスリか。
爪を研ぐヤスリの先っぽが多少だけれども尖っているかもしれない。
まぁ、それは仕方ないか。
そして、ハサミは確かに入っている。
けれど、それは眉毛を揃えるためのハサミ。
機内に持ち込んでもいいように先を鋭利なままではなく丸くされていて、刃渡りも短い。
機内持ち込みが可能なトラベルグッズとしてとして販売されているもの。
『これをよくみてください。刃先が丸くなっているでしょ。これは機内持ち込みをしても大丈夫なように販売されているものです』
僕はそう伝えた。
けれどそれはどうやら無駄だった。
悪いのは彼らではない。言葉を話せない僕だ。
マダガスカルの公用語はフランス語。
空港職員だから英語が話せるかどうかといえばそうではない。
なかなか僕が言いたいことは伝わらない。
『ハサミ。先がまるい。安全。機内持ち込み。問題ない。他の国でも問題ない』
単語を繋げてなんとか伝える。
実はこのトラベルグッズは僕の友人から旅の餞別としてもらったもの。
ここで捨てたくはないものなんだ。
僕の言い分は聞き入れられなかった。
彼らはこれをここで捨てろという。
周りの職員は相変わらずおしゃべりをしている。
時折僕の方をみて、僕が必死で英語で話しているのがおかしいのか指差しながら笑っているのも見えた。
“くそ。めんどくさい”
言葉が通じないことは本当に歯がゆい。
ちゃんとフランス語で説明ができればその場を乗り切ることができただろう。
けれど、僕はフランス語が話せない。
悪いのは僕だ。
英語がわからない彼らではない。
まともに仕事をしていない彼らのことは気に食わなかったけれど。
どうやら彼らが言うにはハサミとヤスリはここで捨てろということらしい。
けれど、僕は捨てたくない。
僕が買ったものならいけれど、友人からもらったものだから。
僕は機内預けの荷物に入れ直してくると伝えた。
もう一度並ばないといけなくなるかもしれない。
けど、もうそれはいい。
フライトまではまだ時間がある。
僕はカバンを受け取り、出国ゲートを逆戻り。
職員は不思議そうな顔をしていた。
発見カウンターにやってきた僕は、事情を話して僕の荷物をもう一度出して欲しい事を伝えた。
カウンターの人は多少嫌な顔をしていたけれど、仕方なさそうにカバンをもう一度出してきてくれた。
メインバックの中にトラベルグッズを入れる。
ハサミとヤスリだけではなく、爪切りや耳かきも一緒になったセットを丸ごとメインバックに入れ直した。
そして僕はもう一度列に並び、荷物チェックを受ける。
その数十分後
僕は空港職員と大喧嘩をする事になった。
“えー!!なんで喧嘩することになるねーん!っていう質問はこの下のボタンクリック先で受け付けてたりするかもしれません”