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世界5周中の情報系旅人が綴る、世界や旅の情報あれこれ〜たまに恋〜

『僕の恋人になってください』。大丈夫。僕らの手はまだ繋がれたままだ。

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カフェで出会った女性とまさかのディナーに行った僕。

まったく想定外の展開。

たまたま立ち寄ったカフェで出会った女性。しかも店員。

 

カフェでコーヒーを飲み、一度目の選択。

僕は帰るという選択ではなく、食事に行くという選択をした。

 

彼女との食事はとても楽しいものだった。

そこにお酒があった事もあり、僕らはたくさん話をした。

1本、2本、いったい何本ビールを飲んだかも覚えていない。

 

僕には再び選択をする時が与えられた。

いくつもの選択がある中、僕が選んだのは…

 

 

夜の公園。そこは多くの若者が集う場所。

『今日は何時に帰らないといけない?』

僕は彼女にそう尋ねた。

時間は夜10時を過ぎている。

帰らないといけないなら、もうそろそろその頃合いなのかもしれない。

 

『明日から休みだから何時でも大丈夫』

 

そう言った彼女。

 

『僕はまだ一緒にお酒を飲めたらいいなって思ってるんだけど。どうかな?』

 

僕はまだ帰らないという選択をした。

きっと彼女がこの場に退屈しているなら『明日から休み』なんていう台詞は言わなかっただろう。

 

『いいよ。どこに行く?』

 

僕は彼女と一緒ならどこでもよかった。

まぁ、どこに店があるかもわからないし。

僕がわかるのはジェラスにクラブがあるというだけだ。

 

『どこでも大丈夫だよ』

僕はそう伝えた。

そして僕らは歩き始める。

 

歩きながらも僕らの会話は途切れる事はなかった。

メデジンは常春。

一年中が春のような気候。

酒を飲んで少し良い気分の僕らにはとても良い気候だろう。

 

僕らは一軒の立ち飲み屋のような場所にたどり着いた。

どうやらそこでお酒を飲むのではなく、そこでお酒を買ってどこかに移動するらしい。

 

僕は二人分のカクテルをオーダーした。

そして、彼女が歩く方向へ着いて行った。

 

その場所には多くの若者が座っており、夜なのにとても賑やかだった。

そこはParque El Poblado。

僕が泊まっている宿から徒歩で行ける公園だった。

 

多くの若者が友人同士で集まり、笑いあっている。

きっとみんな大学生くらいの年代だと思う。

スケボーをしている姿も見かける。

メデジンの若者の夜の楽しみは、この公園で友人と語る事なのかもしれない。

 

 

僕の右手。彼女の左手。

僕らはそこで再び酒を飲み始めた。

どうやら彼女は明日から一週間ほど学校へ行く必要はないらしい。

あのカフェも正規で働いているというよりは、知り合いから頼まれた時だけ手伝いをしている程度のものだったらしい。

 

たまたま今日は仕事をしていたけれど、普段は1週間に1度入るか入らないか程度だと言っていた。

 

僕は明日からボゴタという場所へ行く。

コロンビアの首都。

明日必ず行かないといけないわけではないけれど、僕はボゴタからパナマへのフライトチケットをすでに予約していた。

 

僕たちの話は尽きることがなかった。

話題も様々。

日本のこと。

コロンビアのこと。

家庭のこと。

勉強のこと。

仕事のこと。

旅のこと。

世界のこと。

 

 

恋愛のこと。

 

 

僕らにはいくらでも話す話題があった。

ジュースのように甘いカクテルは、ちょうどビールで酔ってきていた脳を回復させてきていた。

きっと彼女ももう酔ってはいない。

 

僕らの周りではたくさんの若者が話をしていた。

グループでいる若者。

そしてカップルも目にする。

 

周りから見ると、僕らはカップルに見えていたかもしれない。

けれど、僕らはカップルではない。

ついさっき出会ったばかり。

そしてコーヒーを飲み、食事をし、数杯一緒にお酒を飲んだだけだ。

 

けれど僕らの距離はとても近かった。

公園のベンチではなく、階段の段差のような場所に腰掛けていたぼくら。

人が通れるスペースをあけれるように、僕らはできるだけ近寄って座っていた。

 

僕らの肩と肩の間にはもう隙間は存在していなかった。

二杯目のカクテルを取りに行って戻ってきた時、僕は意図的にさっきよりも近づいて彼女の隣に座ったから。

 

『gracias』

 

と言って受け取った時の彼女の笑顔は、一番最初に僕がカフェでお礼を言い

 

『De nada』

 

と彼女が言った時の笑顔と同じだった。

 

彼女と一緒に過ごす時間はとても楽しかった。

よく笑い、よく喋り、僕の話を聞いてくれる。

そしてそれに同調し、話を広げてくれる。

とても数時間前に出会った人とは思えなかった。

 

そんな風に考えていた午前0時。

日付はいつの間にか翌日へと変わり、時計の針は僕らが出会って二日目の日を進み始めていた。

 

ちょうどそんな頃。

僕の右手には彼女の左手があった。

 

 

さぁ、決めろ。次の選択肢はもう一つだろ?

僕の右手の上にのっている彼女の左手。

いや、のっているという表現はおかしい。

僕たちは手をつなぎ、その場で何事もないように会話を続けていた。

 

それはとても自然で、不思議な点など何もないように思えた。

 

出会って二日目に入った頃。

僕らの関係は出会った初日とは少し変わりつつあった。

 

僕は彼女の家を知らない。

ここからどれだけ遠くに住んでいるかもまだ聞いていない。

けれど、それを聞く必要はない。

それを聞く事、それは僕と彼女が別々に帰るという意味になるかもしれないから。

 

もう深夜になっている。

もし帰る事があるとするならば、タクシーで帰る事も可能だろう。

僕がここでタクシーを止めれば、彼女はいつものように自分の自宅をタクシードライバーに伝える。

それで家に帰れる。

 

けれど、そんな必要はない。

僕らの手は繋がれていて、僕らは笑顔なんだから。

 

『時間遅くなってきたね。まだ眠たくない?』

 

『うん。大丈夫』

 

『この近く、宿がたくさんあるみたいだけど、今日はこっちで泊まっていかない?』

 

僕がその時選ぶ選択肢はそれ一択だろう。

いや、きっと僕じゃなくてもそれ一択だ。

男だったらそれくらいできて当たり前。

そんな風に僕は思っている。

 

『うん。私はそれでもいいよ。shoはそれでもいい?宿があるんじゃない?』

 

『宿はあるけれど、帰らないといけない理由は今ないから。帰らない理由はあるけれど』

 

『それならいいよ。行こうか』

 

僕らはParque el Pobladoの近くにある宿に向かった。

僕の選択肢はたった一つ。

そのたった一つの選択肢を選ぶのは僕にとって必然。

そしてきっと彼女にとっても必然だったんだろう。

そう思いたい。

 

 

大丈夫。僕らの手はまだ繋がれたままだ。

宿はすぐに見つかった。

パスポートは不要とも言われた。

きっと彼女がチェックインをすればもっとスムーズだったんだろうけれど、僕は自分でチェックインをした。

 

かっこつけようと思った訳ではないけれど、外国の地で一人で色々な事ができるというのは何かしら彼女にアピールできる僕の特技のようなものかもしれないと思ったから。

 

結局は拙いスペイン語で話すよりも、レセプションの人が英語で話してくれたので英語を使う事になったけれど。

 

選択すべき事はまだある。

ダブル。

ツイン。

 

どっちにするべきだ。

 

『ツイン』

 

僕はそうレセプションに告げた。

僕にとってそれは最後のけじめのようなものだった。

 

僕らはまだ付き合ってはいない。

数時間前に出会ったばかりだ。

 

恋人になるという事に対する、僕の感覚と彼女の感覚。

恋愛に関する僕らの価値観。

それについて僕らは少し話しをしていた。

 

きっと僕らは恋人になるかもしれない。

そう何かのきっかけがあれば僕らは正々堂々と公然で手を繋いでもいいし、キスだってしたって構わない。

 

だってここは日本じゃないでしょ。

南米コロンビア。

溢れ出すほどの愛と情熱。

それを表現する事ができる、いやすべきとも言っていい場所なんだから。

 

けれど、僕らはまだ恋人ではない。

僕にとってのけじめはやっぱりそのまま貫く事にした。

この場で告白をしてから

 

『ツイン取り消し、やっぱりダブルで』

 

というのはかっこ悪いだろ。

 

僕らは部屋に入り、ベッドに腰掛けた。

そして宿に来る途中に買ったビールを二つ開けて今日何度もつかったあの単語を二人でいう。

 

『Salud』

 

ベッドは二つ。

けれど、僕らが座っているのは片側のベッド。

 

僕らはまた笑う。

 

『なんで今一緒にいるんだろうね』

 

彼女はそう言って僕に笑いかけてきた。

この瞬間を一緒にいる事なんてきっと僕らには想像もついていなかった。

 

カフェで僕の眼の前に座るまでは。

そう。

僕はあの時に今日の夜一緒にいる事ができたらいいなと思っていたかもしれない。

そしてその希望は今現実のものになり、ここで一緒にいる。

 

僕の隣にあの笑顔がある。

 

僕はまだ悩んでいた。

ここはコロンビア。

僕の旅はまだ続く。

明日にはボゴタへ行く。

 

色々悩むべき事はあった。

けれど、ツインの部屋を頼んだ時点で僕がその時できるけじめは守った。

あとはこの先どうするか。

頭の中にある言葉を伝えるかどうか。

 

 

大丈夫。

僕らの手はまだ繋がれたままだ。

 

 

『僕の恋人になってください』

 

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